8/3'05 グールド/ベートーヴェン・ピアノによる 「田園」
<Amazon CD感想文より>
いずれにしても、曲よりも演奏によるところの大きい一枚である。ベートーヴェンの『田園』は、それぞれの弦楽器や管楽器が持つ音の持続力の特質を見事に生かしながら構成されたスコアであり、それがこの曲が名曲たる所以なのだが、グールドのピアノは、これがリスト編曲のピアノ曲であることを保留にしつつ、時にはおよそピアノの音とは思えない響きの多様さをもって、原曲を再現しようとする。しかしそうした一見緻密な音作りの結果が、孤独なピアノ弾きの自己陶酔に終わるのを目の当たりにする時、我々はピアノという楽器の可能性と、限界を悟るのである。
いずれにしても、曲よりも演奏によるところの大きい一枚である。ベートーヴェンの『田園』は、それぞれの弦楽器や管楽器が持つ音の持続力の特質を見事に生かしながら構成されたスコアであり、それがこの曲が名曲たる所以なのだが、グールドのピアノは、これがリスト編曲のピアノ曲であることを保留にしつつ、時にはおよそピアノの音とは思えない響きの多様さをもって、原曲を再現しようとする。しかしそうした一見緻密な音作りの結果が、孤独なピアノ弾きの自己陶酔に終わるのを目の当たりにする時、我々はピアノという楽器の可能性と、限界を悟るのである。
昔、NHKでグールドの紹介番組をしていましたが、その中でグールドがカナダの(?)自然のなかを歩きながら、この曲を大声で歌いながら(かなり音痴にパヤパパパン パヤパパパンという具合)指揮もしながら歩いているのを見ました。その様子は音楽に没入して至福のときを過ごしているような、なにか考え事をしているような、傍からは分かりませんが、見ていてとても面白かったです。
ベートーヴェンのこの幸せに満ちた曲をグールドは、Ⅰ楽章は少しゆっくり目に内声部もよく歌わせて、Ⅱ楽章は深い沈黙の音楽という感じで、Ⅲ楽章は元気すぎて鳴らしすぎのときのグールドで、Ⅳ楽章は表現豊かに、Ⅴ楽章は気持ちよく歌わせながら弾いています。
ベートーヴェンのこの幸せに満ちた曲をグールドは、Ⅰ楽章は少しゆっくり目に内声部もよく歌わせて、Ⅱ楽章は深い沈黙の音楽という感じで、Ⅲ楽章は元気すぎて鳴らしすぎのときのグールドで、Ⅳ楽章は表現豊かに、Ⅴ楽章は気持ちよく歌わせながら弾いています。