JBLでクラシックを聴く

ヤフーブログ終了で引っ越ししてきました。主にオーディオについてです。すでにオーディオ一式は断捨離で売り払ってしまいましたが、思い出のために引っ越しして残すことにしました。

シューマン/ヴァイオリン協奏曲 クレーメル・ヨーロッパ室内管弦楽団

シューマン/ヴァイオリン協奏曲 クレーメル・ヨーロッパ室内管弦楽団
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情報
演奏: アルゲリッチ(マルタ), クレーメル(ギドン), ヨーロッパ室内管弦楽団
指揮: アーノンクール(ニコラウス)
作曲: シューマン
CD (2004/1/21)
ディスク枚数: 1

ピアノ協奏曲イ短調作品54
作曲: シューマン
アルゲリッチ(マルタ), ヨーロッパ室内管弦楽団
指揮: アーノンクール(ニコラウス)

ヴァイオリン協奏曲ニ短調
作曲: シューマン
クレーメル(ギドン), ヨーロッパ室内管弦楽団
指揮: アーノンクール(ニコラウス)

シューマンのピアノ協奏曲は馥郁としたロマンの香りを音にしたような名曲として広く親しまれています。天才肌のピアニスト、アルゲリッチの奔放かつ情熱的な演奏は、この曲の一つの理想でしょう。20世紀になって発見されたヴァイオリン協奏曲は、鬼才ヴァイオリニスト、クレーメルがあらゆる音符に情念を込めて演奏することで真価が伝わります。眼光紙背に徹するアーノンクールの指揮により、知・情・意を備えた名盤となりました。
(CDレビューより)

シューマンのバイオリン協奏曲はこの1曲しか残していません。しかも、完成されて間もなく封印され、その後80年以上もたってやっと発見して初演されたという、「いわくつきの曲」です。

シューマンはこの曲を晩年1853年秋に極めて短時間で書き上げました。晩年はバイオリンに強く興味を持ったようで、ヨアヒムの演奏したベートーベンのバイオリン協奏曲を聴いて感銘を受け、この曲を書くことになったようです。

シューマンはヨアヒムにこの楽譜を送りましたが、なぜかこの曲を演奏会で取り上げる事は有りませんでした。そして、ヨアヒムの死後、遺書によってこの曲はベルリンのプロイセン国立図書館に移管され、そのままになってしまいました。

1937年にヘルマン・シュプリンガーが上記の図書館からこの曲の草稿を見つけだし、翌年、ヨアヒムを大叔父とするハンガリーの女性バイオリニストのイェリー・ダラーニによって、初めてロンドンで演奏されました。

この「いわくつきの曲」は、現在では、シューマンの晩年の重要な作品で有るばかりでなく、ロマン派の貴重なバイオリン協奏曲になっています。

シューマンが無意識に得意とした、小さなモティーフを反復しながら、大きな構成を突き詰めた結果だから、彼の歌う要素はとても少なくなりました。それでもシューマンが心に描いていた美しさ、夢のような瞬間が、あちらこちらで小さな輝きを煌めかせています。

シューマンは精神病棟で治療していて、「天使の美しい歌声が聞こえてきて、それを何とか書き留めてみたんだよ」とクラーラ夫人に告げたのが、この2楽章らしいのですが、夢のような瞬間を求めていた、または辛い現実から逃れようとした想いが感じられます。