JBLでクラシックを聴く

ヤフーブログ終了で引っ越ししてきました。主にオーディオについてです。すでにオーディオ一式は断捨離で売り払ってしまいましたが、思い出のために引っ越しして残すことにしました。

長寿の元サーチュイン遺伝子


NHKスペシャルでの長寿達成法は意外に簡単だった。40代〜60代の被験者4人での実証実験では30パーセント減らした食事を3〜7週間続けただけで、長寿を担っているサーチュイン遺伝子が目覚めて働き始めた。飽食の現代人のサーチュイン遺伝子は殆ど休眠中で、その結果、老化が進行する。しかし、飢餓状態になると目覚め、細胞中のミトコンドリアを活性化させてエネルギー効率を高める。更に、活性酸素の害を防ぎ、免疫力低下、動脈硬化高血糖、惚け、骨粗鬆症、脱毛白髪等の老化症状を防ぎ改善して、美肌と持久力と抗がん作用を高める。

サーチュイン遺伝子は動物の長い飢餓の歴史の中で、飢餓対策として生まれたものだ。その働きは遺伝子の長寿に関わる箇所を選び出して元気づける。100歳以上の元気な老人の調査では、いずれも若い頃から小食でサーチュイン遺伝子の働きが活発だった。これは人類渇望の夢の遺伝子である。更に注目すべきは遺伝子損傷の修復能力で、今、福島で問題になっている放射線被曝への抵抗力も期待できる。

「腹八分は健康長寿のもと」は本当だったようだ。番組では米国の大学で20年ほど飼われている猿集団の比較実験が紹介された。人間での70歳相当の猿二頭での比較では、飽食の猿は毛が抜けシワがより見るからに老いていた。対して食事30%減の猿は毛ツヤは良く、肌も張りがあって元気で若々しかった。更に、脳の断層写真でも萎縮はなく、記憶力も良く、持久力も優れていた。実験では40%減食が一番サーチュイン遺伝子の増加が見られたが、それでは挫折する可能性が高く現実的ではない。臨床実験では、一般では25%減が良いとされていた。

減食ではなく薬物でサーチュイン遺伝子を活性化させる方法も紹介していた。薬品名はレスベラトロールで、1939年に北大の高岡道夫氏が有毒なバイケイソウから発見した。動物実験では、長寿、抗炎症、抗癌、血糖降下、放射線障害抑止などの効果が確認されている。殊に、放射性物質に汚染された日本では放射線障害抑止作用は注目されそうだ。減食ができない成長期の子供には二重の朗報だ。

米国では、イタドリから抽出されたレスベラトロールを含有するサプリメントが大ヒットしている。価格は1月分2〜3000円ほどだが、日本ではイタドリ由来のレスベラトロールは未承認薬となっている。ちなみに、欧米のイタドリは日本産が観賞用に輸入され、クズと同じように爆発的に野生化して有害植物とされている。身近な食品ではブドウや葡萄酒に少量含まれている。含有サプリメントが輸入販売されているが、レスベラトロールは不安定でサプリメントによって効力に大きな差があるので注意が必要だ。

レスベラトロールを毎日服用すれば、食事制限なしでサーチュイン遺伝子を活性化できる。レスベラトロールと同様の薬品が次々と開発されれば平均寿命100歳の実現は近い。元気な老人が増えれば医療福祉費が削減され、少子高齢化社会の朗報になる。

現在、レスベラトロールに構造が似ていて強力な働きのある薬品が合成され臨床実験に入っている。同様の薬品は世界中の製薬メーカーが開発競争中で、近いうちに国内でも信頼性の高い薬が発売されそうだ。