JBLでクラシックを聴く

ヤフーブログ終了で引っ越ししてきました。主にオーディオについてです。すでにオーディオ一式は断捨離で売り払ってしまいましたが、思い出のために引っ越しして残すことにしました。

NHKスペシャル ~運命の遺伝子~

NHKスペシャル
「あなたは未来をどこまで知りたいですか~運命の遺伝子~」
2013年7月 7日 (日) 午後9時00分~9時49分
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0707/index.html

遺伝子関連の最近のニュースに、
アンジェリーナ・ジョリーさんが乳がんのリスクがある遺伝子を持っていることがわかり、乳房を切除したことが話題になりました。

日本でも遺伝子検査キットがあり、記憶力や円形脱毛症、肥満になりやすいなどの検査で、アメリカでは120種類がわかるキットが販売されています(99ドル)。 わずかな唾液を送るだけで1カ月後には、インターネット経由で結果が報告されます。

遺伝子検査のこの様な進歩は、ヒトゲノム計画が発端でした。
ヒトゲノム計画の遺伝子解読は世界的規模で1991年からから始まりました。 人の遺伝子情報をすべて解読することが目的で、23種類の染色体に収められている「ATGC」の4種類の塩基の個数と順番を解明する計画でした。 特殊なレーザを照射しての解析でしたが、当時は一度に96個が限界という中で、12年も費やし、やっと2003年に解読が完了しました。

この解読で23種類の染色体の配列がわかり、数は30億にものぼりました。 2年後には、次世代シーケンサーと呼ばれる革命的な装置が開発され、一度の解読が今までの3000倍、23万個まで増えて、2カ月に短縮されました。 また近年では、多人数の30億の配列データが1日で得られるようになり、配列や領域ごとの意味も分かってきました。 この領域のひとつひとつを遺伝子と呼びます。

例えばHERC2遺伝子は、瞳の色を決める。この遺伝子があるたんぱく質を造り、これが瞳の色素の量を決める。茶・青、、、。 また、PITX2遺伝子は正しく心臓を動かすものだが、これに異常があると心房細動が起きやすい。 異常の特定は過去の患者と比べる事で判明した。 通常Cの場所がTに、またAの場所がGになっていた。 この様にしてリスクが割り出されています。

アンジェリーナ・ジョリーさんのBRCA遺伝子で87%のリスクがあるというのは、13%は放射線とか化学物質等の環境要因で、遺伝要因が87%という意味なので、一個の遺伝子だけ見て高いからだめとは言い切れないが、リスクを下げるという意義は勿論ある。

アルツハイマー病の遺伝子検査では、遺伝子との関連や治療法など確立されてないので、結果報告を見るかどうかは個人の選択になっていた(鍵のマークが付いていて、デフォルトで見られない)。
遺伝子検査については、今は法的な規制がないので、これから大きな問題が懸念されている。

ALK遺伝子については治療への応用が始まっている。 40歳代の肺がんと診断された、2歳と6歳の子供がいる主婦。 咳が止まらず、手術では取り除けないほど肥大したがんだった。 遺伝子検査を受けたところALKが原因と分かった。

この遺伝子は細胞分裂を促すが、ALKの配列が異なっているため、過剰に分裂するタンパクが産生されて細胞分裂が暴走してしまうので、そのタンパクを減少させる新薬が試用された。
1ヶ月後、咳が出なくなり、CT画像もがんが明らかに減っている。
現在、1000人以上の人(日本だけで)がこの薬でがんを抑えている。 この治療の可能性が広がる事を期待されている。

アメリカでは、2歳の時から、食べ物を食べると腸に穴があく難病の症例である。 手術も160回以上に成っているため、ウィスコンシン子供病院の医師が根本原因を調べるため、全部の遺伝子を調べた。16124か所で異常配列があり、更に免疫にかかわるものを3カ月で32にまで絞った。
そして、XIAP遺伝子がこの病気にかかわるものと特定され、遺伝子変異の解明がなされた。 普通はGの場所がAになっていた。たった一文字の違いだった。 そして、骨髄移植が行われて完治する事になった。

10万円で1人のゲノムが読める時代になってきているので、遺伝子と才能にかかわる研究も進んでいる。 例えば運動、ある配列の人は持久力がすぐれていて、リズム感に関してもダンサーはある場所が長いとか等の情報が集積され出している。

中国では遺伝子検査は子供の英才教育に使われだしている。 遺伝子検査から、学力・感性・音楽・絵画・ダンス・スポーツ別に4段階の評価を行い、才能の開花しやすい分野を明示する。 この検査は日本人も3000人が利用していることだった。 さらに、北京ゲノム研究所では天才の遺伝子に迫ろうという研究が開始され、知能指数が高い人に共通する配列を探している。

体外受精の受精卵の選択に於いても、遺伝子検査が活用されだしている。 デトロイトにある会社で遺伝子調査依頼が殺到し、1つの病気につき35万円で500種類が検査できる。
もともとは150の病気を検査していたが、どんどん追加されてきていて、月に40件の依頼がある。 例えば、17個の受精卵が入ったものが送られてきて遺伝子検査によって、命である受精卵の選別が行われている。

しかし、この様な人為的遺伝子選択によって、
人類は多様を損ね、エイズの様な疾患でもタフに生存する人が居なくなり、一緒に皆ばたっと倒れて、人類が滅亡する可能性もはらんでいる。

昔、県の衛生研究所に勤務してた頃、医師である所長と話した、僕の鎌状貧血遺伝子撲滅論について、彼が同じような事を言ったのを思い出しました。