JBLでクラシックを聴く

ヤフーブログ終了で引っ越ししてきました。主にオーディオについてです。すでにオーディオ一式は断捨離で売り払ってしまいましたが、思い出のために引っ越しして残すことにしました。

今月のこの1曲(2005.6月)メンデルスゾーン「真夏の夜の夢」 その3

 このメンデルスゾーン真夏の夜の夢」の音楽には、さすがに少なからぬ録音があります。ビゼーの「アルルの女」やグリークの「ペールギュント」のように演奏会用の組曲になっているわけでもないのに。

 何と言っても、序曲が別格で、これは序曲集といったCDに取り上げられる例も多い。結婚行進曲はさらにポピュラーで、それこそ有名な管弦楽曲を集めたホーム・クラシックといったオムニバス的なCDにはよく出てくるのではと思います。
 が、ここでは、そういったものではなく、一応、「真夏の夜の夢」の劇付随音楽を序曲も含めある程度並べたものを取り上げたいと思います。
 とは言え、なかなか全曲盤はなく、有名曲を中心に5~10曲くらいで構成したものが多いようです。


 いま、私の手元には9種のCDがありますが、この中で、プレヴィンの旧盤だけが全曲盤と言って良いものです。序曲を含むそれぞれの収録曲数を挙げると、マーク(8曲)、シューリヒト(8曲)、クレンペラー(10曲)、クーベリック(10曲)、プレヴィン(旧盤13曲、新盤10曲)、デュトワ(5曲)、テイト(9曲)、ヘレヴェッヘ(10曲)といったところです。

 今回は、いつの間にか増えてしまったこれら「真夏夜の夢」のCDの中から、私の好きなものをいくつか取り上げて紹介するにとどめたいと思います。

 まずは、ペーター・マーク指揮ロンドン交響楽団の盤(DECCA1957年録音)。
 昔から名盤とされる1枚で、同じオケとの「スコットランド交響曲とともに、若きマークの代表盤です。落ち着いた中にもメンデルスゾーンとの相性の良さを感じさせる安心して聴ける演奏です。デッカの録音らしくステレオ初期にもかかわらず音も決して悪くありません。

 次は、オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団による1960年の録音(EMI)。クレンペラーといえば、どちらかというとベートーヴェン演奏などでの厳めしいイメージがありますが、ここに聴くクレンペラーの音楽のチャーミングさはどうでしょう。
 序曲などのテンポ設定はクレンペラーらしくやや遅めですが、決して重たくなっていないのはモーツァルトメンデルスゾーンも得意としたクレンペラーの面目躍如といったところでしょうか。
(以上2つのCDの声楽部分は英語歌唱。)

 ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団(DG1964年)の演奏。これは、クーベリックらしい奇をてらわない、まさに正攻法というかドイツ・ロマン派音楽としての正当性を感じさせるものです。全体にテンポは速めですが、夜想曲のホルンの響きなどいかにもドイツの森を感じさせる音楽です。(物語の舞台はアテネだけど。)なお、歌詞はドイツ語です。

 アンドレ・プレヴィンは、この曲を得意にしていて、ロンドン交響楽団(旧盤1976年EMI、英語歌詞)、ヴィーン・フィル(新盤1985年PHILIPS、ドイツ語歌詞)との録音があります。
 いずれも甲乙つけがたく、より円熟した解釈とオケの雰囲気や巧みさでは新盤ですが、全曲収録で、この曲の若々しさ軽やかさがよく出ている点でお薦めは旧盤でしょうか。

 最後にオリジナル楽器での演奏から、フィリッペ・ヘレヴェッヘ指揮シャンゼリゼ管弦楽団の演奏(HMF1994年録音)。今は廃れてしまいチューバで代用される低音管楽器オフィクレイドが聴ける!。
 演奏も少しもせかせかしたところやエキセントリックな感じのない聴きやすいもの。手兵シャペル・ロワイヤルによる声楽部分もさすがに手慣れたものだが、ただ、ドイツ語歌唱なのだがコーラスがフランス訛りのためなのか、初めなかなか何語で歌っているのかわからなかったのはご愛敬(笑)。


 というわけで、今回は、この季節にちなんで、メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」の音楽をお送りしました。

 夏至祭時分の英国と異なり、こちらは蒸し暑くなる時期ではありますが、シェイクスピアの「真夏の夜の夢」を片手に、メンデルスゾーンのさわやかな音楽を聴いて、いっとき梅雨を忘れてみるというのはいかがでしょう。


ついつい、また思いの外長くなってしまいましたが、今回もおつきあいいただき、ありがとうございました。

ではまた。


                       恐々謹言

                     樹公庵 日々